MBAのマーケティングの授業でよく参考書として取り上げられている『ゼミナールマーケティング入門 第2版』の演習問題を考えてみたいと思います。
今回は、第1章 演習問題①を取り上げています。
第1章 市場をつくり出す企業活動 演習問題①
事業の創造と維持における、マーケティングの役割を整理しなさい。
出所:『ゼミナールマーケティング入門 第2版』
解答例
マーケティングの定義
まず、マーケティングについての定義を改めて確認しておくと(本書にも定義記載があるが)、日本マーケティング協会では下記のようにまとめています。
マーケティングとは、企業および他の組織1)がグローバルな視野2)に立ち、顧客3)との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動4)である。
1)教育・医療・行政などの機関、団体などを含む。
出所:公益社団法人日本マーケティング協会
2)国内外の社会、文化、自然環境の重視。
3)一般消費者、取引先、関係する機関・個人、および地域住民を含む。
4)組織の内外に向けて統合・調整されたリサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係などに係わる諸活動をいう。
すなわち、事業活動による利益は、顧客を理解し、その欲求を満たした結果ととらえることができ、事業の創造と維持に対して、マーケティング活動は、顧客の欲求を把握し、創造し、提供することと考えることができます。
マーケティング活動の内容・フロー
次に、マーケティングの具体的な活動内容・フローを整理すると以下の手順となっています。
- ステップ1:マーケティング目標の決定
市場シェア、利益額、ブランド認知の向上など - ステップ2:ターゲット、ポジション、コンセプトの設定
マーケティング目標を達成するために明確化する - ステップ3:マーケティング・ミックスの策定
「製品」、「価格」、「流通」、「プロモーション」の4つのカテゴリーとして捉えることが一般的 - ステップ4:消費対応、競争対応、取引対応、組織対応の検討
- ステップ5:実行と再点検
マーケティング・マネジメント上の留意点
マーケティング・マネジメント上の留意点は、マーケティング・ミックスの4つの項目を含む目標からの整合性(内的一貫性)、および企業の直面する外部環境との整合性(外的一貫性)を考慮して、適切にマネジメントしていく必要があるという点です。
なお、外的一貫性については、先のマーケティング活動の整理では、顧客との関係性に焦点を当てていましたが、顧客は重要な要素ではあるものの単に顧客に関する事項のみを検討対象とすればよいわけではなく、例えば、いわゆる3C分析の要素として挙げられる、「競合」の動向や「自社」の全社戦略との整合性や、経営資源のフィット&ギャップなどについても考慮すべきことは言うまでもありません。
思考の軌跡
解答を考えるときに、どのような点を意識していたかを簡単に振り返ります。
まず、「事業の創造と維持」を事業活動による利益の創出と考えて、マーケティングが果たす役割を整理しました。
本書のマーケティングの定義は「企業が、顧客との関係の創造と維持を、さまざまな企業活動を通じて実現していくこと」とあったが、企業と顧客の関係性にフォーカスされている印象を受けたことから、マーケティング協会の定義を確認した。実際、マーケティング協会では、「公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」とあり、競合他社の視点が強調されています。
また、本章の説明では、マーケティングの役割として、マーケティング・ミックス(4P)の説明が中心的と感じたが、個人的には「マーケティング目標を決定する」、あるいは「ターゲットやポジション、コンセプトを決定する」が、いわゆるwhyやwhatに該当し、マーケティング・ミックスはそれを実現するためのHowに近いと感じたため、より上流の視点であるステップ1と2、特にステップ2のターゲットやポジショニングも重要になると考えています。
解答例としては、自身がマーケティング・ミックスの要素などを理解していること(4Pの具体的な内容)を記載することも必要と考えました。
今回は、ここまで~。最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます。
参考情報
今回の演習問題、またその内容はこちらの書籍にまとめられております。
本サイトで配信している学びに関する情報の全体像は以下の記事でまとめています。
また、本記事の画像はPowerPointで作成しております。PowerPoint操作の解説記事・講座もありますので、興味のある人はご覧ください。
参考文献
公益社団法人日本マーケティング協会
https://www.jma2-jp.org/jma/aboutjma/jmaorganization
コメント