MBAの授業でよく参考書として取り上げられているジェイ・B・バーニーの『企業戦略論 上 基本編』のチャレンジ問題・演習問題を考えてみたいと思います。
今回は、企業戦略論 上 第1章チャレンジ問題1.3を取り上げています。
第1章 戦略および戦略経営プロセスとは何か チャレンジ問題1.3
ミッション・ステートメントを公式な文書として定めたとしても、それが企業のパフォーマンス向上につながるということを実証する証拠はほとんど存在しない。それにもかかわらず、多くの企業はミッション・ステートメントの策定に多くの時間とお金を費やす。これはなぜか。
出所:ジェイ・B・バーニー『企業戦略論 上 基本編』
解答例
ミッション・ステートメントとは
ミッション・ステートメントは欧米ではCorporate Philosophyと訳されます。
日本では、ビジョンと同様の意味で使われることや、企業理念、社訓とか社是と訳されることもあります。
企業は一般的に、ミッション・ステートメント/企業理念に沿って、戦略や行動を決定するものとされています。
ミッション・ステートメントは、企業のユニークな存在目的、競争目的、経営目的、戦略的目的等を定義するものです。
ミッション・ステートメントが与える影響と効果
上記の通り、ミッション・ステートメントは、企業の存在目的などを定義し、内外のステークホルダーに周知するものです。
その存在意義に、多かれ少なかれ共感をつのることで、各ステークホルダーに影響を与えることができると考えます。
以下でステークホルダーごとに、簡単な影響とそれによる効果を整理しました。
株主
企業のミッション・ステートメントに共感することで、その企業への出資につながることが考えられます。
近年では、CSVやESGなどの重要性が高まっているが、ミッション・ステートメントはそれらが登場する以前より、株主に対して提供する価値を訴求していました。
従業員(求職者含む)
企業のミッション・ステートメントに共感することで、従業員のエンゲージメントを高めることにつながると考えられます。
従業員エンゲージメントは、従業員が会社に貢献したいという意欲のことであり、エンゲージメントが高いと良いパフォーマンスを発揮することがわかっています。
>>>パフォーマンスを向上させるミッション・ステートメントも参考にしてください。
また、求職者、すなわち潜在的な従業員からも共感を得ることができると、他社との差別化につながり、優秀な人材の確保につながる可能性もあります。
消費者
企業のミッション・ステートメントに共感することで、その企業の製品・サービスへの選好が高まると考えられます。
思考の軌跡
まず、ミッション・ステートメントがどのようなものかを簡易に整理し、ミッション・ステートメントが与える影響を整理しました。
その際に、企業をとりまく内外のステークホルダーを整理の軸として考えました。
なお、今回、解答例に記載したステークホルダー以外にも、提携企業、政府などが考えられますが、特に重要なものを記載しています。
今回は、ここまで~。最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます。
参考情報
今回のチャレンジ問題や演習問題、またその内容はこちらの書籍にまとめられております。
本サイトで配信している学びに関する情報の全体像は以下の記事でまとめています。
また、本記事の画像はPowerPointで作成しており、操作の解説記事・講座もありますので、興味のある人はご覧ください。
参考文献
ミッション・ステートメント:日米企業の比較研究;2009年並木 伸晃
https://rikkyo.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=445&item_no=1&page_id=13&block_id=49
「天職」ではない仕事に意義を見出す方法
https://dhbr.diamond.jp/articles/-/4992?page=2
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