MBAの授業でよく参考書として取り上げられているジェイ・B・バーニーの『企業戦略論 上 基本編』のチャレンジ問題・演習問題を考えてみたいと思います。
今回は、企業戦略論 上 第1章チャレンジ問題1.1を取り上げています。
第1章 戦略および戦略経営プロセスとは何か チャレンジ問題1.1
企業は、年次報告書、レターヘッド、広告などにミッション・ステートメントを含めることで広く世間に知らしめようとする。企業のこうした活動を踏まえたうえで、「ミッション・ステートメントが持続的な競争優位の源泉になるか」という点について考察せよ。
出所:ジェイ・B・バーニー『企業戦略論 上 基本編』
解答例
戦略経営プロセスとミッション・ステートメントの関係の整理
戦略経営のプロセスは以下のフローに整理される(一部、統合している)。
- ミッション・ステートメントの作成
企業の目的や価値観を大局的な視点から述べる - 目標の設定
ミッションの達成度を評価する具体的かつ測定可能な指標 - 外部/内部環境分析
外部環境は企業の競争環境における機会と脅威を分析し、内部環境は自社組織の強みや弱みを分析 - 戦略の選択・実行
全社戦略、事業戦略のレベルで戦略を選択し、実行する
ミッション・ステートメントは戦略経営プロセスの一部にすぎず、大局的な視点で作成されることから要素が各企業で類似のものとなりやすいなどから、ミッションそのものが必ずしも競争優位に結び付くわけではない。
パフォーマンスを向上させるミッション・ステートメント
ミッション・ステートメントをあらゆる活動の軸に据えたビジョナリー・カンパニーでは、長期的パフォーマンスを重視する価値観や理念が共有され、パフォーマンスを向上させる。
ジョン F. ケネディがNASAで出会った清掃員のエピソード(大統領が清掃員に、どんな仕事をしているのか尋ねたところ、清掃員は「月に人類を送り込む手助けをしています」と答えた)は、ミッションが組織員の一人ひとりに浸透している例と言えるであろう。
パフォーマンスを損なうミッション・ステートメント
一方で、経営の実態を考慮せず、創業者や幹部の個人的価値観や目標にのみ基づいて策定された内向きなミッションは、企業のパフォーマンスを損なう可能性がある。
思考の軌跡
戦略経営プロセスにおけるミッションの立ち位置を整理し、ミッション・ステートメントがパフォーマンスに与える影響(向上と損なう場合)について、簡易に整理した。
今回は、ここまで~。最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます。
参考情報
今回のチャレンジ問題や演習問題、またその内容はこちらの書籍にまとめられております。
本サイトで配信している学びに関する情報の全体像は以下の記事でまとめています。
また、本記事の画像はPowerPointで作成しており、操作の解説記事・講座もありますので、興味のある人はご覧ください。
参考文献
「天職」ではない仕事に意義を見出す方法
https://dhbr.diamond.jp/articles/-/4992?page=2
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